しの笛に付いて
しの笛に付いて
しの笛は神楽や祭囃子などの民俗芸能や長唄などで使われています。
基本的に指孔は六孔か七孔のものがあり、篠竹で作ることから篠笛と名づけられました。
篠笛は1笨調子から12笨調子まで12種類です。
1笨調子は洋楽のヘ長調で、数字が大きくなるほど笛の長さは短くな り、音も半音ずつ高くなります。
8笨調子が洋楽のハ長調になります。
転調や移調をする場合はいろいろな長さの笛を使い分けて演奏します。
長唄やお囃子で演奏するときは、三味線や唄の調子に笛を合わせます。
例えば、唄い手の声が6笨調子であれば6笨調子の笛を、4笨調子であれば4笨調子の笛を使います。
篠笛は作者や竹によって音色が異なり、また息を入れる角度によって微妙に音程が変化します。
そのため演奏家は、4笨調子と5笨調子の間(半音の間)にさらに3種類 くらい高さの異なる笛を持って
おり、それを使い分けて演奏します。
楽器は総じて季節や気温・湿度によって音が変わるものです。
篠笛も長唄等で演奏する場合、例えば6笨調子と決まっていても臨機応変にその場で、その曲に合う調子や高さで音色の良い笛を選びます。
篠笛の持ち方(指の押さえ方)
右手は軽く伸ばし、小指の第一関節より前の指のはらで押さえ、人差し指・中指・薬指はまっすぐ指を伸ばしたまま第一関節と第二関節の間あたりで指孔をふさぎます。
左手は人差し指の第三関節あたりに笛を乗せ、人差し指、中指、薬指の第一関節より前の指のはらで指孔をふさぎます。
親指は笛を軽くはさむようにして持ちます。(親指は笛を支えるように横へ出す持ち方もあります。
持ち方には左手親指がかくれるような持ち方と左手親指が見えるような持ち方があります。
篠笛の構え方
手元や口の動作
(1)右手で笛の中ほどを持ち、左手で笛の歌口付近を持ちます。(口元を隠 すために、歌口が中指の第一関節付近になるように笛を持ちます。) 右手は指を定位置に移動します。
(2)笛を口に当てる場合、適切な位置にするために笛を回して、上唇で触 れて歌口を確認します。または舌で確認しても良いです。
口の当て方は、唇の形、歯並び等で微妙に異なりますが、
下唇は歌 口に4分の3ぐらいかけ、上下の唇を軽く合わせ横に引きます。(口元 が疲れる場合は強く引きすぎです。)
(3)左手の指を定位置に移動させます。
(4)演奏を終えたら一度全ての指孔をふさぎ、左手を口元に移動し手を添 えたまま笛をおろします。
体全体の動作
立って演奏する場合
左足を斜め前に少し出します。肩の力を抜き、両肘を張り過ぎないようにします。顔は正面に向けます。
正座して演奏する場合
畳の上に直接笛を置くことを避けるために、茶道で使う古袱紗(こぶくさ)を二つに折り、折山を向こう側(横長)に向け、右ひざ頭から10cm離し、5cm下げた位置にします。
この古袱紗の上に笛の歌口を置きます。そのとき歌口・指孔は右側に向けます。こうすれば手に取ったとき自然に指孔は上になります。
息の入れ方
息は歌口の縁に当て、息が歌口の内側と外側に吹き分けるようにしす。
漢字で示す呂(リョ)の音、算用数字の甲(カン)(呂より1オクターブ高い)・大甲(ダイカン)の音(呂より2オクターブ高い)は、それぞれ息の入れ方が微妙に異なるので、いろいろ角度を試し美しい音がでるポイントを見つけましょう。
息の角度を変えるには、下唇(歯)を少しずつ前後に移動する方法があります。
呼吸は腹式呼吸で行い、息は細く、吹くというよりはゆっくりと吐くイメージでしましょう。大きな音を出さない限り息はある程度一定で、唇を変化させることで呂・甲・大甲の音を出すことができます。
ちょうど、ゴムホースの口をつまんで水を飛ばす時、つまむ加減で水の飛ぶ距離が変わるように、唇の加減で息が変化しオクターブ高くも低くもできるわけです。
私は呂の音を出す場合、お腹から、オーと声を出すイメージでゆっくりと息を吐くようにしています。
甲音4の指はプーと吹くと1のオクターブ上の音になりやすいため、息の加減に気をつけましょう。
演奏法について
音を区切る奏法 :打つ
篠笛はタンギングを使わず、切れ目なく朗々と演奏します。
ブレスは歌詞の意味を意識して行いましょう。
同じ音が続く場合はタンギングを使わず指を「打つ」ことで音を区切ります。
呂・甲音の0~4は右手人差し指を、5は左手中指、6と7は左手人差し指を出来るだけ早くピョンとはねるように打ちます。
曲想によっては、打つ指を変えたり息づかいで音を区切る方が良い場合もあります。
少し下げた音を出す方法:×(メリ音)
三×・3×(さんめり)は右手中指をそらせて、隙間を前側にあけます。
七×・7×(ななめり)は左手人差し指を左に少しずらして隙間をあけます。
この二つの音は隙間を開けすぎないよう音程に注意します。
基本的には半音下げた不安定な音ですが、表情豊かで美しい篠笛ならではの大切な音です。
篠笛(しのぶえ)は吹く角度で音程が変わりやすく、内側に回すと低く(めり)、外側に回すと高く(かり)なります。